今どき、こんなボリュームでこの値段ある?というイタリアンを見つけたので人を誘い小躍りして行った。開店時間、お爺さんが入店したものの開店にならない。不安に思いつつ、待っていると案内された。
店内は不安になる程、埃の匂いが立ち込めている。だが、掃除が行き届いてないわけではない。ピカピカではないけれども。
時間がかかります、の宣言通り時間がかかってスープとサラダが出た。過呼吸が起きそうだったが落ち着いてサラダを食べると美味しいに近い普通だった。スープはクノール。
パスタも美味しいに近い普通だった。
不意に、土曜の午後友だちの家で遊んでいたら、大学で教職についていた祖父が振る舞ってくれたパスタの味を思い出した。こっそり覗いた書斎。シャンデリアのある客間、部屋の隅のスタンドアップピアノにかけられたベルベットの布の質感とフリンジ。ピアノの上に重ねられたハノンとブルグミュラー。
すべて偽の記憶だけども。脹相か私は。そして、そんなスパゲッティの味だった